●MINI
MINIが誕生して60年。はや還暦にしてその個性はますます磨かれ、チャーミングであり続ける。
若き時代から憧れの車だったという、テリー伊藤さんに、その魅力を語っていただきました。
ＭＩＮＩをここまで復活させたＢＭＷのセンスはたいしたもの
若い頃、ＭINIは憧れの存在だった。都内のアパートが１畳１０００円の時代、ビートルが80万円ぐらいで、ＭINIは１２０万円したから、そう簡単には手の届かないクルマだったんだよね。それでも東京のオシャレなスポットではけっこう見かけた。「Ｓ」なんて乗ってるともう神様みたいな感じだったよ。
当時カリスマだったＶＡＮ創設者の石津謙介さんが、黒のＭINIに乗っていたんだ。日本ではあまり黒は見なかったけど、それがまたカッコよくてね。
モンテカルロラリーで優勝した、有名なゼッケン52番の赤いボディに白ルーフのフォグランプをいくつも並べたＭINIが雪の中の疾走する写真はいまでも持っているよ。当時はヒゲがあって、横の窓がスライドだったんだ。
そんなＭINIが誕生して今年で60周年、ＢＭＷになってはや18年あまり経つんだけど、それにしてもこういう形でＭＩＮＩを復活させたＢＭＷのセンスは本当にたいしたものだとつくづく思うよ。ドイツ人がＭＩＮＩというものをどうすべきか客観的に見て、冷静に考えた結果こうなったわけだ。イギリス人だけではなしえなかったはず。まったくもって奇跡だよ。
クラシックＭINI派からすると、いまのはＭＩＮＩじゃないという人もいるかもしれないけど、かたやビートルは結局２世代で終わるし、フィアット５００も復活したものの次の一手が見えない中で、ＭＩＮＩはむしろ増殖しているからね。勝ち組といえるのはＭＩＮＩだけだよ。
老若男女を問わず絵になるもっと小さいＭＩＮＩに期待
ただし、マスが大きくなった結果、ユーザーの意見を尊重しすぎて魅力が薄れた面もなくはない。コンバーチブルは現行よりも昔のほうがＡピラーが立っていて風は巻き込むけど開放感があってよかったし、クラブマンも小柄でドアの開き方がユニークな初代のほうが好み。現行型は大きすぎてステーションワゴンみたいだもんね。
あとはあまり売れなかったようだけど個人的にはクーペに興味がある。あの奇抜なデザインは素晴らしい。思わずたまに中古車を探してしまうくらいだよ。
実は、もうかれこれ30年近くモークを持っているんだ。カジバ製のポルトガル生産の最終仕様ね。いまでもたまに湘南をドライブしているよ。
やっぱりＭＩＮＩに期待するのは小ささだよね。もちろん側突対応も大事だけど、なにも全車３ナンバーにすることはない。up!やトゥインゴだってあるわけじゃない。ぜひＭＩＮＩにも本来の原点であるＭＩＮＩ・ＭＩＮＩを１８０万円ぐらいで出して欲しいよね。ミスター・ビーンが欧州の小道で乗ると似合いそうな…（笑）
とにかくＭＩＮＩは本当にウキウキ、ワクワクさせてくれるクルマ。外観はもちろん、メーターまわりのインパネのデザインも個性的で、ほかのクルマにはない世界を楽しめるよ。オプションパーツがものすごく充実しているのもうれしい。
中古車の選択肢も豊富で、リーズナブルな価格帯から選べるし、買ってからも古くならないからどれを買っても後悔しないだろうし、コンバースのスニーカーのように男女や世代を超えてどんな人が乗っても絵になる。本当にオススメ。超オススメだよ！
1968年～2000年 クラシックMINI
1959年から基本設計を変えることなく40年以上生産された。全長約3m、全幅1.4mあまりの日本の軽自動車よりもコンパクトなボディに4人が乗れる空間を確保している。
2001年 BMW MINI初代
BMWのもとで再出発することになった新生MINIの初代は3ドアハッチバックとコンバーチブルの2本立て。過給機にスーパーチャージャー、2ペダル車にCVTを採用したのが特徴。
2006年 BMW MINI 2代目
当代でクラブマン、クーペ、ロードスター、クロスオーバー、ペースマンと最大で全7車系に拡大。MINIならではのゴーカートフィールを維持しつつ快適性の向上にも注力した。
2013年 BMW MINI 3代目
ボディサイズ拡大により全車3ナンバーに。ラインアップを整理するとともに5ドアハッチバックを新設定。伝統のセンターメーターを廃止し、各種先進装備を積極的に採用。
2019年 60周年記念特別仕様車
3ドアと5ドアハッチバックのクーパー系をベースに、英国生まれのアイデンティを強調した専用の内外装とするとともに、各部に「60」を印象づけるロゴを配して特別感を演出。