少し熟成させたほうが 味が出る車、ランクル

トヨタ ランドクルーザー

この車でなければ、という唯一無二の存在感。
道なき道を走破する圧倒的なスペック。
そんなランドクルーザーは、テリー伊藤さんの目には
どのように映っているのでしょうか。

今でこそ憧れの存在だけど僕らの若い頃は人気なかった

 ランクルを愛車にしたことはないけど、FJクルーザーには10年ぐらい乗っていたよ。最初は並行輸入しかなくて、右ハンドルがあれば欲しいと思っていたら、日本仕様が発売されたのですぐに買った。あえて鉄チン ホイールを履かせたらやがてサビが浮いてきて、それがまたカッコよかった。
 また乗りたいなと思って中古車を探してみると、1年ほど前に230万円ぐらいだったようなクルマが、なんと100万円以上も高くなっているんだよね。手放さなければよかったよ(笑)
 今でこそランクルは憧れの存在だけど、僕らが若い頃はぜんぜん違って、ようするに女の子にモテなかった。最近では少し古めのランクルをわざわざ丸目にするのが流行っているけど、実際に丸目だった頃は人気なかったんだよね。
 でも、映画「影武者」で徳川家康を演じた油井昌由樹さんは、実はダウンジャケットという文化をアメリカから日本に持ち込んだ人で、日本のアウトドアの第一人者として当時の「POPEYE」の誌面にもたびた び登場していたんだけど、そのころ油井さんが乗っていたのがランクルの丸目なんだ。
 中がフルフラットになるから、てっきり山に行って車中泊するのかと思ったら、そんなダサいことはしないと言われて驚いたものだよ。なぜなら車内で寝たほうが安心なのに、そうじゃなくて、せっかくの大自然の中で風の音に怯えながら寝るのがイイというんだ。そんな哲学を持った油井さんの駆るランクルはやけにカッコよく見えた。
 やがてランクルは70のような硬派路線よりも、80、100、200という快適・豪華路線のほうがメインになって人気を獲得していった。でも僕にとってはぜんぜん興味の対象外なんだ。
 それはトヨタのことだからイイに決まってるけど、なんだかダンナ臭がプンプンして、〝上がり〞のクルマっぽいじゃない。「いつかはランクル」みたいにクラウンと同じ空気を感じて、ソッチに行っちゃいけない気がするんだよね。

ギラギラした新車よりも少し古いほうがカッコイイ

 たまに海外の映像で、砂塵を巻き上げながら砂漠の中を走っている姿を目にするけど、あれこそランクル本来の姿だよね。例えばニュース映像で流れる中東の様々なシーンも、結果的には少なからずプロモーションになってる。
 かたや僕らが日本で見かけるランクルは、高速道路という大海原を滑走する、まさにクルーザーみたいなクルマ。でも実はそれって動物園のオリの中にいるライオンとなんら変わらない。野生の中で獲物を狙ってどんな場所でも全力で走ることが本当はできるクルマなのに、日本で走っているのは舗装路だけ。あんなに豪華なクルマでアウトドアなんてむしろ似合わない。小枝でキズがつくとイヤだもん。ランクルはそういうクルマになってしまった。
 もうすぐ出る300系の予想CGも見たけど、さらにオラオラになって、もう売るためのデザインでしかないよね。中東とか中国とか途中から参入してきたお金持ちの相手ばかりに熱心になっている。
 でも面白いことに、そんなランクルも少し時間が経つとカッコよく見えてくるんだ。出てきたときには中年太りして脂ぎった感じの、焼き肉屋に乗り付けるのが似合うようなクルマでも、5年10年経つとギラギラが抜けて、イイ感じで枯れてきて三國連太郎になる。芦田伸介や二谷英明だってそう。若い頃はたいしていい役やってなかったのに、やがてツイードの似合うナイスミドルになったんだ。
 だいたいのクルマは新車のときが一番輝いているけど、こういうクルマってあんまりない。だから慌てることはない。ランクルは新車よりも中古に乗るべき。少し古めのクルマをちょっとラフにカジュアルに乗りこなすのが、いわゆる〝カッコイイ〞だと思うんだよ。

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歴代ランクルご紹介 トヨタランドクルーザーの変遷

◆1951年 初代 トヨタジープBJ


トヨタ製トラックをベースに開発。当初は「トヨタ・ジープ」と名乗ったが商標権の問題で改名。警察予備隊では三菱に敗れたが国家地方警察には採用された。

20系・40系・・・
多様化が進み、民間向けとした20系、品質向上した40系へと進化。いずれも3種類のホイールベースが設定され、ピックアップや消防車仕様も設定。一方で斬新なデザインの乗用タイプ50系も加わった。

◆1980年 60系

Station Wagon
55系の後継。外観を一新し快適装備を充実したほか、前席をベンチタイプからセパレートタイプに変更。日本国内向けはバン(商用車)カテゴリーで販売。

◆1984年 70系

Heavy Duty
40系の後継として乗用使用に対応すべく快適性の向上を図った。国内販売は2004年に終了したが海外向けの生産は継続。90年にワゴン系は「プラド」として分離。

◆1989年 80系


この世代からワゴンとバンを設定。北米や豪州を中心とする海外市場での商品力強化のため大型化を図り、デザインや装備も高級SUVとしての性格を強めた。

FJクルーザー(40系をモチーフ)
テリー伊藤さんが10年以上愛した車


プラドをベースにFJ40型ランクルに由来する外観を与えた異色作。観音開きドアが特徴。2006年の北米を皮切りにいくつかの国で販売され、当初は予定のなかった日本でも2010年に発売された。

◆1998年 100系


プレステージ性を一層高めた。ステアリングにはラックアンドピニオン式を採用し、ハイドロニューマチックサスペンションやスカイフックTEMSなどを初設定。

◆2007年 200系


マルチテレインセレクトやクロールコントロールや、トルセンLSD付きトランスファーを標準装備。前後のスタビライザーを油圧システムで結んだ機構等も設定。

◆2014年 70系復刻


復活を求めるファンの要望に応え、誕生30周年を記念して期間限定で再販。4ドアバンとともに、国内初となるダブルキャブのピックアップトラックが販売された。

2021年 300系
機構的には200系の進化版となり、エンジンはV8を廃してV6ターボとなり、10速ATを組み合わせる見込み。新スポーティグレード「GR-S」の情報も。

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