思い出の車列伝
芸能界屈指のカーマニアであり、くるまマイスター検定公式応援団長であるテリー伊藤氏とモータージャーナリストである岡本幸一郎氏が、ロングセラーカーに注目して、思いの丈を語るコーナーです。
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思い出の車列伝 少し熟成させたほうが 味が出る車、ランクル●トヨタ ランドクルーザー この車でなければ、という唯一無二の存在感。 道なき道を走破する圧倒的なスペック。 そんなランドクルーザーは、テリー伊藤さんの目には どのように映っているのでしょうか。 今でこそ憧れの存在だけど僕らの若い頃は人気なかった ランクルを愛車にしたことはないけど、FJクルーザーには10年ぐらい乗っていたよ。最初は並行輸入しかなくて、右ハンドルがあれば欲しいと思っていたら、日本仕様が発売されたのですぐに買った。あえて鉄チン ホイールを履かせたらやがてサビが浮いてきて、それがまたカッコよかった。 また乗りたいなと思って中古車を探してみると、1年ほど前に230万円ぐらいだった…
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思い出の車列伝 誰にでも薦められる 完成度の高い実用車●Volkswagen Golf 間もなくその8代目が日本上陸するゴルフは、 初代から、日本人の感性にピタりとハマった車だった。 質実剛健でありながらカワイイを経てきたゴルフの 現在は、テリー伊藤さんの目にはどう映っているのだろう。 ビートル、ゴルフ3に乗りオールトラックを愛車に 今ちょうどゴルフのオールトラックに乗っていて、200万円ぐらいの中古車を普段自分で運転しているんだけど、本当によくできていてビックリしている。使い勝手はいいし走りもよくて疲れない。こんなにいい車 だったのかと感心しているよ。 後ろをフルフラットにできるのもいい。ちゃんと本当にフラットになるワゴンは実はあまりないか…
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思い出の車列伝 スバリスタが誇る 2020年の国産車の顔●SUBARU レヴォーグ 大型化したレガシィのダウンサイジング版として、 2014年に登場したレヴォーグが、2020年にフルモデルチェンジ。 スバル車として4年ぶり3度目となる日本カー・オブ・ザ・イヤー戴冠車の、 魅力と弱点をテリー伊藤さんが分析する。 非の打ちどころがない優等生ならではの苦悩 2020 -2021年の日本カー・オブ・ザ・イヤーが、スバルのレヴォーグに決定しましたね。僕自身も1位こそランドローバーのディフェンダーを選びましたが、2位はレヴォーグに1票を投じました。 その差は微々たるもので、ディフェンダーのほうが、購入後の生活をより具体的に想像できたというだけ。衝突安全基準と…
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思い出の車列伝 世界で売れている 国産EVのトップランナー●日産 リーフ 2010年に販売開始された日産 リーフは、 2017年にモデルチェンジし、2020年に販売10周年を迎えました。 2019年には世界で約7万台も販売。 日本EV界を牽引する存在は、テリーさんの眼にはどう映っているのでしょうか。 航続距離のアップとインフラ整備が普及の鍵 僕はね、車好きである前に新しいもの好きなんです。もちろん、年代的にガソリン車を乗り継いできたので、レシプロエンジンにはものすごい思い入れがありますよ。だけどね、電気自動車は認めないとか、そんなこ とは全然ありません。 むしろ、ここ数年の電気自動車のリリースラッシュには純粋にワクワクさせられています。アウディの…
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思い出の車列伝 西海岸のカルチャーを日本に運んできたクルマ●ホンダ アコード アメリカ西海岸の空気感で憧れだった、当時を思い出してそう語るテリー伊藤さん。 そんなホンダ アコードの魅力と、これから目指すべき姿の提言を伺いました。 西海岸の匂いがした憧れの特別なクルマ こうして見ると昔と今でずいぶん変わったよね。僕は初代シビックと3代目のワンダーシビックに乗っていて、お金がなくて買えなかったからアコードは憧れだったんだ。 当時のホンダはイケイケで、他のメーカーとは違う位置にいて、その中でもアコードというのは特別なクルマだった。西海岸の匂いを日本に持ち込んだんだから。ビーチ・ボーイズとかビッグ・ウェンズデーみたいに、ローラースケートを履いてサンタモニ…
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思い出の車列伝 エンスーの永遠の憧れ イタリアンレッドの誘惑●アルファロメオ アルファロメオは創業110周年を迎えました。 数々の名車を世に送り出してきた名門は、テリーさんの目にはどう映っているのか。 アルファ愛車遍歴もあわせて伺いました。 車好きのツボを知り尽くしたデザイン なんでしょうね、イタリア車っていう言葉に含まれる甘美な響きは。車好きだったら、誰でも一度は乗ってみたいって思うんじゃないかな。コンパクトカーからスーパーカーまで、一貫しているデザインへのこだわ り。20代の頃には随分と憧れましたよ。 僕が若いときはカローラが全盛で、若者の憧れはブルーバードみたいな時代。そんな時にフェラーリやランボルギーニなんて、まったく現実感がない車だったわ…
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思い出の車列伝 国民車の可能性秘めた 待望のコンパクトSUV●トヨタ ライズ/ダイハツ ロッキー 5ナンバーのSUVというマーケットは、予想通りこの時代の金脈だった。 ワクワクして待っていたというテリーさん。 果たしてお眼鏡にかなう出来栄えだったのか……。 都市部でも日常的に使えてSUVの雰囲気を味わえる 遅い! 遅すぎる!!世の中はもうずっとSUVブームなんだから、こういうコンパクトなSUVもあって当たり前なのに、どうしてこんなに遅くなったのか不思議でならない。前の ラッシュ/ビーゴ が消滅してからもうずいぶん時間がたっている。メーカーのお偉いさんはいつも頭を突き合わせて会議をやっているはずなのに、もっと早くこういうクルマを出すべきという話にならな…
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思い出の車列伝 これ1台あるだけでなんでもできる名車●スズキ ハスラー 5代目ワゴンRのプラットフォームを共有し、2014年に誕生したハスラーがモデルチェンジ。初代を所有するテリーさんから見て、新型は進化したのか、それとも…。 必要にして十分! 初代ハスラーは神 今回はいきなり結論から言いますよ。ハスラーは最高です!この車に難癖をつけるのなんて、よっぽどの変わり者だけ。デザインにしても、走りにしても文句のつけようがない。誰が乗っても「これで十分じゃん」って思えるはずです。 事実、沖縄とか北海道へ行くと、レンタカーとしてハスラーがめちゃくちゃ使われています。それって必要十分な車であることの証しだよね。市街地でキビキビ走るし、高速道路を巡航して…
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思い出の車列伝 やっとたどり着いたハッチバックの完成形●MAZDA3 マツダが自信を持って激戦のCセグメントに投入したMAZDA3が、2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤーで2位を獲得。いつもは辛口のテリーさんも賛辞を惜しみません。 日常のどんなシーンにもマッチするかっこよさ 日本カー・オブ・ザ・イヤーで堂々2位ですからね。そりゃあ完成度は高いですよ。私も選考委員をやらせてもらって、持ち点25点のうち、ジープのラングラーの10点に次ぐ5点をMAZDA3に投じました。 私の趣味は、個性が強くて、見るだけでワクワクする車。そういう意味ではMAZDA3はちょっと弱いんだよね。だって普通にかっこいいじゃない。万人に受け入れられるデザインだよね。良…
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思い出の車列伝 陽はまた昇る!? 世界的大衆車、未来への提言●トヨタ カローラ 後編 庶民の憧れであり続けたカローラが、いつしか無個性の象徴的な存在へ。輝きを失いつつある大衆車へ向けたテリーさんからの提言とは?カローラにネガティブな印象のない若年層から火が着けば、令和の時代にまさかの復権もありえるのかも!? 先入観なしに評価すれば走りも燃費も素晴らしい! 選択肢がない時代ならカローラでよかったんですよ。車を乗り比べる機会なんてないんだから、走りがいいとか、居住性がどうとか、燃費が悪いとか、誰もそんなことは考えもしなかった。手にすれば生活が変わる、家族との会話が増える、夢の暮らしを手に入れられる。カローラはベーシックカーであり、ハイソサエティーカーでもあ…
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思い出の車列伝 庶民の誰もが憧れた日本が世界に誇る大衆車●トヨタ カローラ 前編トヨタの代名詞ともいえるカローラが、2019年9月に生まれ変わった。1966年に誕生した初代から数えること12代目。50年以上も国産コンパクトカーのベンチマークとして君臨する車のフルモデルチェンジに、テリー伊藤さんは何を感じるのだろう。 実用的かつおしゃれ初期カローラは憧れの的 カローラも誕生からもう50年以上経つんだね。初代はうちの兄貴が乗ってましたよ。僕もよ運転させてもらいました。懐かしいなぁ。初代のこの丸目のデザインなんて、今見るとすごく新鮮ですよね。純粋にかっこいい車だと思うな。 今でこそ無個性の象徴みたいに語られることが多いけど、誕生当時のカローラは若い人たち…
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思い出の車列伝 広くて便利、日常使いを突き詰めたロングセラー●ダイハツ タント軽自動車のスタンダードが、スーパーハイトワゴンになるなんて思いもしなかった。生活に密着した使い勝手をとことん追求した車、ダイハツ タントについてテリー伊藤さんが持論を展開します。 ワゴンRが起こした革命をタントがさらに昇華させた いまや軽自動車は、新車販売全体の約4割にも達する勢いだ。ふと気づけば軽自動車のラインアップも、まるでカップラーメンやポテトチップみたいに種類が豊富になっている。限られた世界の中で、こんなにもいろいろなクルマがあるのには驚くばかり。こうして活況を呈するようなったのは、それだけ軽自動車というものが日本人にとって大事なカテゴリーになったということだよね。…
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思い出の車列伝 MINIは年をとらない。いつの時代も憧れの車!●MINIMINIが誕生して60年。はや還暦にしてその個性はますます磨かれ、チャーミングであり続ける。若き時代から憧れの車だったという、テリー伊藤さんに、その魅力を語っていただきました。 MINIをここまで復活させたBMWのセンスはたいしたもの 若い頃、MINIは憧れの存在だった。都内のアパートが1畳1000円の時代、ビートルが80万円ぐらいで、MINIは120万円したから、そう簡単には手の届かないクルマだったんだよね。それでも東京のオシャレなスポットではけっこう見かけた。「S」なんて乗ってるともう神様みたいな感じだったよ。 当時カリスマだったVAN創設者の石津謙介さんが、黒のMINIに乗って…
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思い出の車列伝 唯一無二の独自の世界観孤高のロングセラー●三菱 デリカミニバンでありながらSUVのような独特な存在感を持つ三菱デリカ。道を選ばない走破性、多人数乗車と充実した積載能力……自身もユーザーであるというテリーさんに、その魅力を聞きました。 新型D :5のデザイナーはすごく才能があると思う 「デリカ」と聞いて思い出すのは、80年代のスターワゴンだよね。白いガードバーの付いたツートーンのやつ。まだミニバンやSUVという言葉がなかった時代に、ワンボックスをオフローダーっぽく仕立てたルックスは、当時やけに存在感があったよね。そんな他のクルマにはない独特の世界観は、今のD :5にもしっかり受け継がれていて、根強い人気がある。なにせ去年だって、出たば…
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思い出の車列伝 気取らず、気負わず乗る 普段着感覚の軽オープン●ダイハツ コペン軽自動車でオープンカーという業界の異端児。発表から17年を経ても高い人気を誇る、ダイハツ コペンの魅力とはなんなのか、熱烈なコペンファンのテリーさんに聞きました。 特異なジャンルの車ながら乗るシーンも人も選ばない コペンは本当に大好きな車ですよ。コペンのことなら、いくらでも語れちゃう。同じような位置付けのホンダビートを、新車で買ってかれこれ20年以上も所有してるから購入こそしてないけど、できれば手元に置きたい車のひとつだね。 そもそも、車が売れないと言われているこの時代に、軽のオープンカーなんていうニッチな車を販売してくれるダイハツは神ですね。昔はスズキのカプチーノとか、マツ…
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思い出の車列伝 古い記憶を揺り動かす青春時代の愛車の残像●ニッポンのコンパクトカー小型車のベンチマーク的存在と言うべきアクア、ノート、フィット、デミオという各メーカーの売れ筋4車種を軸に、テリーさんのコンパクトカー論を聞きました。 日本が世界に誇るスタンダードカーの鑑 僕はとにかくコンパクトな車が大好き。今もプライベートの足にはスズキのジムニー シエラを使っているし、つい最近はシトロエンの2CVを買ったばっかり。実は僕ね、運転が上手じゃないんですよ。都内で大きな車を運転していると、住宅街の狭い路地なんかでのすれ違いにすごく気を使っちゃう。それが嫌でね、自分で運転するのは昔っから小さなサイズの車が多いんだよね。 でもさ、ジムニーも2CVも趣味性が強す…
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思い出の車列伝 千葉の家に初代が3台 その後も3台乗り継いだ●スズキ ジムニージムニーは初代モデルから身近だったというテリー伊藤さん。実は3代目シエラも所有されているとか。あふれるジムニー愛を語っていただきました。 ジムニーをイイといえるのは心に余裕が出てきたからだ 思い起こせば、ジムニーとはなんだかんだ縁があるよ。昔、九十九里の父親の実家には初代ジムニーが3台もあった。地引網をやっていて、砂浜に乗って行けて便利だったからね。でもそのうち錆びてきちゃったんで、僕が東京に1台持ってきて乗っていたんだ。それがまた女の子ウケが悪くてね。初代の頃はドアがなくてバーなんだけど、当時はミニスカートだから外から丸見えなんだ。おまけに3人乗りだったからナンパにも行けな…
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思い出の車列伝 クラウンは無理をして若返る必要はない・・!?●トヨタ クラウンクラウンの歴史は、テリー伊藤さんの人生とかなりリンクしているようです。数々のエピソードと、愛ある辛口メッセージをいただきました。 クルマ好きだったオヤジがクラウンを6大乗り継いだ 実は伊藤家には古くからずっとクラウンがあった。オヤジがクラウンが好きで、2代目から7代目まで6大も乗り継いだんだ。たいして乗りもしないのに、車検のたびに買い替えていたほどだよ。 ウチは築地の長屋暮らしで、子だくさん。みんな狭いところで寝ていたんだけど、なんでこんなに車を買うのかと子どもながらに思ったもんだよ。オフクロも怒っていたよね。 それだけクラウンを乗り継ぐお金があったら、当時は浦安や世田谷あた…
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思い出の車列伝 ミニバンは現代の幌馬車大勢で“体験”を共有する●トヨタ アルファード/ヴェルファイアアルファードデビューの2002年は、日韓ワールドカップが開催された年。ベッカムヘアーや日本代表のユニフォーム姿が街にあふれていました。 ミニバンが売れるのは移動するお茶の間だから? 「いつかはクラウン」だったのが、いまやすっかり「いつかはアル/ヴェル」になった。裕福そうなファミリーはもちろん、政治家や芸能界でも乗ってる人が大勢いるし、地方でも若い子が中古車を買ってドレスアップしているのをよく見かける。 それだけ魅力があるということだろうけど、こういうクルマが売れるというのは日本特有の文化に違いない。住宅事情に恵まれていない日本では、そのうっぷんをクルマに託…