広くて便利、日常使いを突き詰めたロングセラー


●ダイハツ タント
軽自動車のスタンダードが、スーパーハイトワゴンになるなんて思いもしなかった。
生活に密着した使い勝手をとことん追求した車、
ダイハツ タントについてテリー伊藤さんが持論を展開します。

ワゴンRが起こした革命をタントがさらに昇華させた

 いまや軽自動車は、新車販売全体の約4割にも達する勢いだ。
ふと気づけば軽自動車のラインアップも、まるでカップラーメンやポテトチップみたいに種類が豊富になっている。限られた世界の中で、こんなにもいろいろなクルマがあるのには驚くばかり。
こうして活況を呈するようなったのは、それだけ軽自動車というものが日本人にとって大事なカテゴリーになったということだよね。
 軽自動車を手がけるメーカーの中でもとくに、ダイハツは、〝軽王国〞じゃないかなと思っている。もちろんスズキホンダ日産三菱連合もそれぞれがんばっているけれど、もっともバリエーションが豊富なのはダイハツというイメージがあるよね。
 今回のタントはもちろん、ムーヴミラもあれば、特徴的なデザインの派生モデルもあるし、さらにはキャストのような変わりダネや、車高をめいっぱい高くしたウエイクや、コペンのようなスポーツカーまである。たいしたものだよね。
 そんなダイハツの中でも、もっとも売れているのがタント。むろんあまり趣味性のあるクルマではないけど、広くて便利に使えるから人気があるのもうなずける。
 思えば四半世紀あまり前、軽自動車の世界に革命が起きた。まずスズキワゴンRというパイオニアが大きな扉を開いたのをきっかけに、軽自動車はハイトワゴンだらけになった。
ダイハツムーヴを出して追随したし、他のメーカーも背高のクルマを相次いで送り出して、軽自動車はハイトワゴン全盛期を迎えたよね。
 そして21世紀になってしばらくして、ダイハツが放ったのがタントだ。ちょっとアンバランスに見えるほど車高が高くて、当時はここまでやるかというイメージだったけど、発売されると、価格がやや高めだったにもかかわらず予想をはるかに超えるほど売れまくった。
 そしてタントの人気を尻目に、各メーカーから似たような形のクルマが続々と出てきて、いまやすっかり売れ筋になっている。こうしたスーパーハイトワゴンが軽自動車のスタンダードになるなんて、当初はまったく想像できなかったよね。
タントが軽自動車のありかたを変えたわけだ。たしか記憶では、軽自動車だけでなく普通車も含めた年間の新車販売台数で軽自動車がトップになったのも、タントが初めてだったはずだよね。

DNGAにより全面刷新したことを知っておくべき

 長さ340㎝、幅148㎝という限られたサイズの中で、本当にきめ細かく、できるかぎりのことをやっていて、よくぞここまでできたものだと思わずにいられない。こういうのは日本人じゃないと無理。見事な箱庭文化だと思うよ。
 さらにタントがすごいのは、助手席側のセンターピラをなくすという離れ業をやってのけたこと。おかげで助手席側がドーンと開放されて、乗り降りや荷物の積み下ろしがものすごくラクになった。こんなことができるのはタントだけだ。
 そんなタントがモデルチェンジして4代目になった。ただ、見た目の雰囲気は、モデルチェンジとはいえあまり変わっていない。タントのユーザーは、それほどクルマが好きというわけではなく、洗濯機や冷蔵庫のようにクルマを使う人が多いだろうから、モデルチェンジしたことを知らない人も大勢いるんじゃないかな?
 でもそれはもったいない。評判のよいトヨタの「TNGA」のダイハツ版といえる「DNGA」という新しいプラットフォームを初めて採用して全面的に変えたおかげで、もともと広くて便利なタントが走りや安全性もさらに進化したんだから、ぜひ新しくなったことを理解した上で選んで欲しいよね。
 あとは、ダイハツにはムーヴキャンバスミラトコットのようなユニークなデザインのクルマだってあるわけじゃない? 個人的にも、とくにムーヴキャンバスの1950〜60年代風のデザインは、とてもよい雰囲気が出せてると思っている。タントにもそんな遊び心のあるクルマがあってもいいんじゃないかな。

ダイハツ タントを探す

2003年 初代
他社に先駆けて1700mmを超える全高を実現。センターメーターや、ほぼ直角に開くドアをいちはやく採用したのも特徴。ガングリップ式のコラムシフトは4速AT(自然吸気の4WDは3速AT)。カスタムは遅れて追加された。

2007年 2代目
タントの代名詞となる「ミラクルオープンドア」を採用。ホイールベースが歴代最長となり、フラットフロア化が図られた。主力モデルにCVTが与えられ、ターボエンジンはカスタムのみの組み合わせとされた。

2013年 3代目
全車CVT化。運転席側も含めた両側スライドドアを採用。助手席ロングスライド機構の採用および後席下部の出っ張りが抑えられたことでミラクルオープンドアの使い勝手がさらに向上。「スマートアシスト」を導入。

2019年 4代目
DNGA採用およびパワートレインも含め全面刷新。運転席にもロングスライドシートを組み合わせた「ミラクルウォークスルーパッケージ」を採用。操舵介入やパーキングアシスト機能も備えた「次世代スマートアシスト」を搭載。

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