古い記憶を揺り動かす青春時代の愛車の残像

●ニッポンのコンパクトカー
小型車のベンチマーク的存在と言うべきアクア、ノート、フィット、デミオという
各メーカーの売れ筋４車種を軸に、テリーさんのコンパクトカー論を聞きました。

日本が世界に誇るスタンダードカーの鑑

僕はとにかくコンパクトな車が大好き。今もプライベートの足にはスズキのジムニーシエラを使っているし、つい最近はシトロエンの2CVを買ったばっかり。
実は僕ね、運転が上手じゃないんですよ。都内で大きな車を運転していると、住宅街の狭い路地なんかでのすれ違いにすごく気を使っちゃう。
それが嫌でね、自分で運転するのは昔っから小さなサイズの車が多いんだよね。
　
でもさ、ジムニーも2CVも趣味性が強すぎるよね。例えば夫婦に子供2人の4人家族なのに、お父さんが2CVを買ってきたらひんしゅくものでしょ。
「これでどうやって4人でキャンプ行くのよ！」って怒られちゃう。　やっぱり家庭で1台しか車を持てないって場合に、選択肢の最上位に来るのはトヨタのアクア、日産のノート、ホンダのフィット、マツダのデミオといったあたり。
鉄板中の鉄板と言えるコンパクトカーですよ。燃費が良くて、家族4人とその荷物を載せるスペースが確保されていて、市街地でも高速道路でもキビキビ走る。
文句のつけようのないスタンダードカーですよね。

白モノ家電のようにどれを買っても問題なし

まあ、個性という面では弱いのは事実。でも、こういった車にはむしろ際立った個性って必要ないんだよね。だって必要最低限の機能と快適性と安全性、それにリーズナブルな価格が求められてるんだもん。
家電に例えれば白モノ家電。冷蔵庫や洗濯機なんかに存在感は近いんじゃないかな。もうね、どのメーカーのどの商品を選んでも間違いないっていう安心感はハンパないよね。

このなかからどれかを選ぶ場合は、難しく考えなくていいよ。「この4車種だったらどれを買えばいいですか？」って相談されたら、「販売店が近いやつがいいんじゃない」って答えるね（笑）。
どれを選んだって、相当なマニアでもない限り文句のつけようがないんだから。第一印象とか、好きな色があるからとか、販売店の営業さんの感じが良いからとか、そんな理由で選んじゃって大丈夫ですよ。

そりゃね、細かく言えばそれぞれに特徴や個性がありますよ。アクアはハイブリッドで燃費が抜群にいいし、ノートはe-powerエンジンが素晴らしいし、フィットはトランクルームが広いし、デミオはデザインがスタイリッシュだよね。
それでもね、どれかを選んで後からすごく後悔することってないんじゃないかな。
　
流通している台数が多いから、中古でも比較的程度のいい車を安く買えるっていうのもメリットでしょうね。一般の人が中古でこういったコンパクトカーを買う場合は、絶対にシートに座ってみたほうがいいですよ。
スタンダードな車種ゆえに営業車に使われる場合も多いでしょ。毎日のように荷物を積んで使用されていると、思いのほかシートがへたってたりしますからね。

青春時代を思い出させる絶妙なサイズ感に惹かれる

個人的にはフィットに興味があるね。先代モデルのプラットフォームを利用したフリードは、本気で買おうかと思っていたくらい。
それにね、若い頃シビックに乗っていたんだけど、今はシビックって大きくなっちゃったでしょ。昔のシビックのサイズって、今でいうとフィットなんだよ。
僕にとってフィットはシビックの残像。黄色いフィットが走っているのなんて見ると目で追っちゃう。なんだか昔を思い出しちゃうんだよ。
　
それってＶＷゴルフとポロの関係にも似てますよね。今は車がどんどん大きくなっちゃてるでしょ。５ナンバーのサイズ感が好きだった僕にしてみると、それがすごく残念。
だから、今はアクアやノートやフィットやデミオのサイズ感に惹かれちゃう。