●トヨタ カローラ 前編
トヨタの代名詞ともいえるカローラが、2019年9月に生まれ変わった。1966年に誕生した初代から数えること12代目。
50年以上も国産コンパクトカーのベンチマークとして君臨する車のフルモデルチェンジに、テリー伊藤さんは何を感じるのだろう。
実用的かつおしゃれ初期カローラは憧れの的
カローラも誕生からもう50年以上経つんだね。
初代はうちの兄貴が乗ってましたよ。僕もよ運転させてもらいました。懐かしいなぁ。初代のこの丸目のデザインなんて、今見るとすごく新鮮ですよね。
純粋にかっこいい車だと思うな。
今でこそ無個性の象徴みたいに語られることが多いけど、誕生当時のカローラは若い人たちにとって憧れの車だったんですよ。そりゃそうですよね。
車自体が高嶺の花で、若者がマイカーを持つなんて夢のまた夢のような時代に、ちょっと頑張れば買える値段で登場したのがカローラ。
今で言えば豊洲のタワーマンションみたいな存在かな。都内で働くサラリーマンで奥さんと子供がいてさ、郊外の一軒家なら無理なく購入できるんだけど、やっぱりギリギリのローンを組んででも豊洲のタワマンの高層階に住みたい。
みんなそう思うじゃない。当時のカローラは、まさにそういう位置づけだったんだよね。
ライバル車は日産のサニーでしたね。サニーは1000ccだったのを意識してなのか、カローラは1100ccにして対抗してきた。インテリアもちょっと高級感があって、走りも悪くなかった。
たしかサニーより少し高かったはずだけど、コストパフォーマンスが良くてすごい人気になったんだよね。 そこから4代目、5代目あたりまでは悪くなかったと思うんだよね。いろいろな派生モデルも生まれたでしょ。ワゴンタイプとか、クーペスポーツタイプのカローラレビンとかさ。デザイン的にも頑張ってたと思うんですよ。兄弟車スプリンターカリブなんて、今でいうクロスオーバーSUVの原型みたいな存在じゃないですか。本気で買おうかと思いましたよ。
販売台数世界一っていう肩書きがついたのもこの頃ですよね。でもさ、それって社用車として購入されているのも随分含まれてたと思うんですよ。一般ユーザーから見て魅力的かというとちょっと違う。
この後、バブル期くらいからどんどん個性が失われていっちゃった。カローラの白物家電化が進んでいくんだよね。
歴代カローラの進化 前編(1966年~1991年)
◆1966年~70年初代
800ccのエントリーモデル「パプリカ」と、乗用車1500ccの「コロナ」の中間に設定された5人乗り小型セダンとして1966年11月にデビュー。先行したダットサン サニーより100cc上回る1.1ℓの直列4気筒OHVエンジン搭載。当初は2ドアのみ、翌67年に4ドア及びバンがラインアップ。68年には2ドアクーペの「カローラ スプリンター」が追加された。
記念すべき初代カローラ
◆1970年~74年 2代目グループ
大阪万博が開催された1970年、2代目カローラ発売。セダンと共にバンもフルモデルチェンジした。
またカローラ スプリンターは「スプリンター」として独立し、代わりに「カローラ クーペ」が用意された。72年にはそのハイパフォーマンス版として「カローラ レビン」が追加。
2代目セダン
◆1974年~79年 3代目グループ
「カローラ30(サンマル)」の愛称で販売。これは3代目登場以降も、しばらく2代目を廉価モデルとして並行生産したため。セダン(2/4ドア)、バンに加えて初めてハードトップが仲間入り。
76年にはリフトバック、77年にクーペを追加し6種類のボディ設定に。クーペに1.6ℓ DOHCエンジンを搭載したスポーツグレード、レビンもラインアップ。
3代目セダン
◆1979年~83年 4代目グループ
初代から続いたFRレイアウト採用の最後のモデル(クーペ系を除く)が4代目。セダンのみ丸目4灯式ヘッドランプ、他のバリエーションはそれぞれにマッチする角型ランプを採用。
ボディデザインは、先代よりさらに直線基調に。82年にフィルダーの祖ともいえるワゴンモデルが初めて登場した。
4代目セダン
◆1983年~87年 5代目グループ
世界的潮流に従い主要モデルを歴代初のFF化し、まさにフルモデルチェンジした。ただスポーツ性を重視ししたクーペ系のレビンはFR続投。
当時のスポーツカーを代表するブランドとして現在まで語り継がれる。ワゴンは継続販売、84年ハッチバックが「カローラFX」として追加された。
5代目セダン
◆1987年~91年 6代目グループ
クラスを超えた質感へのこだわりが随所に。フロントマスクやリヤビューのデザインは当時のハイソカーに似た雰囲気。
同時にセダンにフルタイム4WDを設定するなど、実用面でも好評だった。この代からレビンもFFモデルに移行。カローラFXも2世代目となり居住性が向上した。
6代目セダン