アル/ヴェルはいかにしてロングセラーカーとなったのか

トヨタ アルファードヴェルファイア
「いつかはアル・ヴェル」という時代になった、前回テリー伊藤さんは、このミニバンをそう評価しました。なぜそこまで憧れ、売れ続けるのか……モータージャーナリストの岡本幸一郎氏が、その強さに迫りました。

周到なマーケティング抜け目ない商品力で圧勝

 ミニバンが売れまくってる日本市場には、少し前まではもっと多くのさまざまな車種があったところ、最近ではいわゆる〝売れ筋〞と呼ばれる車種が絞り込まれてきた。その頂点に位置するLLクラスミニバン界を凌駕しているのがアルファードヴェルファイアだ。
 もともとは日産のエルグランドの独壇場だった同カテゴリーに初代アルファードが名乗りを上げたのが2002年5月。エルグランドが2代目にモデルチェンジした翌日のことだ。
 ガチンコのライバル関係にある2台の売れ行きは当初こそ互角だったものの、時間の経過とともにアルファード圧勝の様相を呈していった。
 その勢いをそのまま衰えさせることなく現在にいたるまで売れ続けているのは周知のとおりだが、まずはなぜそれほどまでにエルグランドに勝てたのかを考えてみると、やはり高級感の演出がアルファードのほうが一枚上手だったことが挙げられる。
 斬新でモダンな路線へと舵切ったエルグランドも、それはそれでよかったとはいえ、高級サルーンのような雰囲気に仕立てられたインテリアなど、よりわかりやすいアルファードのほうがウケはよかった。
 また、むろん少し遅れて追加されたハイブリッド車が選べたのもアルファードの強みに違いないが、逆に当初から価格を低く抑えた小排気量モデルを用意したことも小さくない。
実際の話、動力性能面で物足りない感があったのは否めないが、それでもリーズナブルに高級ミニバンに乗りたいユーザーに大いに受け入れられた。日産ものちにエルグランドに小排気量モデルを追加するも、すでに明暗はハッキリしていた。
 さらには、大柄で背高であるわりに軽快で操縦安定性に優れるドライブフィールの評価も高かった。FRを踏襲したことが称賛されたエルグランドも、その点では完敗だった。そのあたり評判が評判を呼んでどんどん差は開いていった。

ヴェルファイアの追加と時代の変化も追い風に

さらに、最初のモデルチェンジの際に、より押し出しが強く、アルファードをしのぐ売れ行きを見せるヴェルファイアが加わったこともダメを押した。
 途中、ホンダがエリシオンという刺客を送り込んだり、エルグランドもFF化して再出発しても、アル/ヴェルの優位性はゆるぎなかった。
 時代の変化も追い風となった。名よりも実を取るというか、かつてはセダンが当たり前だった官公庁をはじめとする送迎関連でも先入観にとらわれることなく便利で快適な高級ミニバンが積極的に使われるようになった。
 あるいは子育てでミニバンの便利さを知ったユーザーが、さらなる〝上〞を求めてアル/ヴェルにステップアップしたり、いわゆるマイルドヤンキーと呼ばれる層も、たとえ独身でも愛車として選ぶケースが多く見られるようになった。
そんなこんなでアル/ヴェルは幅広い層に支持されるにいたったわけだ。
 また、前述のように同じ土俵で戦った相手がもうかなわないとみな白旗を上げたので、実質的に競合相手がないに等しいことも人気が集中する要因に違いない。
 最近では海外からの引き合いも多く、それもあって再販時に異様なほど高値がつき、その事実が知られるようになったことでますます指名買いを増やしているという話も聞かれる。加えて直近のマイナーチェンジでさらに商品力が大幅に向上したことも大きい。
 高価でも売れているのは、むろんそれだけ価格に見合う価値があるからにほかならない。

2008年【「押し」の強い高級車、ヴェルファイア登場】
2代目アルファード(左)/初代ヴェルファイア(右)
・ V6に3.5Lを採用し余裕ある走りを実現、2.4L直4は4速ATをCVTに変更し燃費向上。
アルファードは大型ヘッドランプ、ヴェルファイアは二段重ねのフロントフェイスが特徴。
・ エグゼクティブパワーシートやLED室内間接照明採用などインテリアの高級感が向上。
● 2.4ℓ 80万円~350万円 ● 3.5ℓ 100万円~360万円 
● HV 150万円~400万円

2015年【「大空間高級サルーン」はさらなる高みへフルモデルチェンジ】
3代目アルファード(左)/2代目ヴェルファイア(右)
・ V6に3.5Lを採用し余裕ある走りを実現、2.4L直4は4速ATをCVTに変更し燃費向上。
・ アルファードは大型ヘッドランプ、ヴェルファイアは二段重ねのフロントフェイスが特徴。
・ エグゼクティブパワーシートやLED室内間接照明採用などインテリアの高級感が向上。
● 2.5ℓ 270万円~530万円 ● 3.5ℓ 300万円~650万円 
● HV 300万円~680万円

2018年【大胆なエクステリアで圧倒するマイナーチェンジ】
3代目アルファード(左)/2代目ヴェルファイア ビッグマイナーチェンジ(右)
・ V6 3.5ℓEg刷新&8AT化、エグゼクティブラウンジを始め
各グレードにエアロ仕様追加。
・ プリクラッシュセーフティ等の先進安全装備
「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備。
・目標駐車位置を自動設定する
インテリジェントパーキングアシスト2機能の強化。
● 2.5ℓ 350万円~600万円 ● 3.6ℓ 450万円~850万円 
● HV 350万円~600万円

★モータージャーナリストの視点!★

このカテゴリーに有力な競合車もなく、直近のマイナーチェンジで大幅に商品力の向上を図ったことが効いて当面は高い人気を維持する見込み。また、海外からの引き合いも増えていることから、すでに驚異的な相場に達している中古車の再販価格も高いまま推移するものと思われる。
なお、ヴェルファイアが登場してからはずっと販売台数でアルファードを上回っていたところ、昨年よりたびたび逆転し、今年3月以降は逆に大差をつけている。オークション落札価格もアルファードのほうがいくぶん高く、新型のデザインの評判もよいこともあり、しばらくこの流れが続きそうだ。

アルファードを検索する

ヴェルファイアを検索する

オークネット.jpでは、全国の中古車について、 「評価点と星の数」の情報をもとに、信頼性の高い中古車情報を提供しています。
車種・エリア・走行距離等の基本的な中古車の状態から、「評価点と星の数」による検索、装備品等のオプション等の詳細検索等、こだわりの中古車を様々な角度から探すことが可能です。 国内外の各メーカー・車種を多く取り揃え、皆さまに安心と信頼の全国の中古車についての情報をお届け致します。